私ども株式会社シンエイの所在地である岐阜県多治見市高田町には、
永い永い焼き物の歴史があり、美濃焼の範疇りありながら、
『高田焼~たかたやき』と別称される特徴ある焼き物製品を現在も多く生産しています。
受け継がれし、四百年以上の歴史 美濃高田焼(美濃焼)
高田焼の産地、高田・小名田地区は美濃を代表する焼き物のまちとして古くから栄えてきました。
虎渓山永保寺が開かれた鎌倉時代には、既に山中のいたるところで庶民向けの器が生産され、また、安土桃山時代には美濃焼を代表する瀬戸黒が最初に焼かれるなど、その歴史は遥か遠い時代に遡ります。
しかし、どのような人々が焼き物に携わっていたかは定かではありません。
昭和二十四年に高田区と小名田区で高田陶磁器工業協同組合を設立。
今日に続く高田焼を始めた人物、陶祖を加藤与左衛門と定め、与左衛門が大平から移り住んだ元和二年(一六一六)を始まりの年とし、その偉業とたたえ、歴史・技術が受け継がれてきました。
残される文献から、高田焼は、1616年(元和2年)に加藤与左衛門景直が窯を築いたことが始まりとされております。近年、さらに以前の室町時代には、ここ高田町で焼き物が献上品として生産されていたことが判っております。
高田町に焼き物が興された最大の理由は、採掘される陶土にあります。『青土~あおど』『木節粘土』と呼ばれる陶土は、今では日本で唯一の単味陶土、つまり採掘されてから加工しなくても焼き物を生産可能とする極めて良質な陶土です。
この陶土で作られた『高田焼』製品の特徴は
①粘性(コシがある)に優れ、②比較的低温で焼きしまり、②耐熱性の高い焼物製品
であることです。
そんな用途を持った、身近な焼き物として貯蔵カメ、徳利、すり鉢(あたり鉢)、釜飯容器など、古くからある「雑器類」が今も作られています。
シンエイから、そんな『高田焼』をご紹介致します。
高田焼の特徴を見事に表現しています。
大きなものになると、その直径は45cmを超えます。
強い力を加えて、山芋などを摩り下ろす器です。
棒を当てても割れないで、しかも腐食しない。
高田焼の優れた性能を改めて知る、「ありふれた雑器」なのです。
2012年の「グッドデザイン賞」を得た、ちょっと小ぶりなすり鉢。
わかりますかぁ~ この櫛目!
直線と曲線で構成された櫛目になっています。
旧来の直線のみで構成された櫛目に比べ、少ない力で短時間で摩り下ろすことが出来るのです。右手で摩っても、左手で摩っても、摩り下ろしたものが中央部に集まり淵へ上がってこない構造になっています。本当に「優れモノ」です。
捕っ手と注ぎ口を付けて、さらに小ぶりにして『納豆鉢』も作っています。
モダンなフォルムの『ドレッシング容器』です。
オイル、ビネガー、スパイス、調味料を放り入れてかき混ぜます。
仕上げに、容器に付いた「すり山」で、オレンジやレモン等の皮を軽く磨り下します。これ一つでキッチンから卓上までOK。
お粥を煮ては、蓋を茶碗にして啜る姿が、なんとも暖かな風情です。
球体に近い形状で、直下使用できるので、コーヒー豆を焙煎する「通」な用途も。
元々は塩を焼く具から起こったようで、「行平~ゆきひら」の名称は
「わくらばに 問ふ人あらば 須磨の浦に 藻塩たれつつ わぶとこたへよ」と詠んだ在原行平の名に因んだものであろうと云われます(原色陶器大辞典より)
直接、火にかけられる、この「調理道具」でもあり、「食器」でもある行平の最大の特徴は、低温領域で発せられる「遠赤外線効果」です。
陶土単味で作られた陶器・・・つまり「鉱物の持つ波動効果」を有しています。
低温調理は食物の栄養素やビタミン類を破壊しない調理法として昨今話題となり素材を生かした美味しく、しかも健康的であると注目されております。
ステンレスやホーロー製の金属鍋に比べて、重いのです。フタも陶器で作りました。当然、上下左右からの過熱が可能となります。
カレーやシチューなどの煮込み料理は勿論、少量の水分で野菜を蒸かしたりご飯を炊いたり出来ます。
また、野菜の持つ水分量だけで調理できるので、ローストビーブなども。
炭火にくべて、フタの上にも炭火をおいて、アウトドアでも活躍できそうです。
重いので、調理の後が大変です。なので、波動効果を生かして、米櫃(こめびつ)としたり、乾燥パスタを保存する容器として使っても、またよろしいかと。
なんとも懐かしい雑器です。「湯たんぽは本当にあったまる」・・・おばあちゃんはよく言ってました。低温域での高い「遠赤外線効果」が証明され、陶器の湯たんぽも見直されてます。
遠赤外線の他に、「波動」には、マイナスイオンもありますが、やはり単味の陶土で作られる高田焼では、マイナスイオンも高い数値が計測されます。
これが作用しているのか解りませんが、「湯たんぽに入れたお湯で、毎朝洗顔していると、化粧乗りが良くなった」という評判も頂きました。
高田焼の可能性が広がったような評判に、とても感激したことが忘れられない一言でした。
ホーダン型 水呑
フタ付カメ(漬物カメ)
食物の長期保存は、冷蔵庫のない時代は大変であったろうと思います。
高田焼の雑器はその特徴から、古くからごく自然に貯蔵容器として多様な使われ方をされて今にあります。
高田焼のカメの水が、痛み難いということで、養鶏用の鳥の水呑なども、昔からある高田焼雑器のひとつです。また、フタ付カメなどは、各家庭で作られていた「味噌」「漬物~梅干しや葉物、根物野菜の漬物」の保存容器として、やはり「どこにでもある、当たり前の雑器」でした。
使用用途と現代の生活様式のミスマッチから、今では生産量も減っておりますがしっかり作られ続けています。
水やお酒を直火であたためる容器です。
特にお酒をあたためる容器として、地方によって「あぶり燗」「火ぬけ」「カラカラ」などと呼ばれていることは不思議です。
直火であたためるお酒は 熱燗のまま冷め難く、長く酔いを楽しむ方にお勧めです。
昔は、囲炉裏(いろり)に刺して温める「とんがった型」などもありました。
高田焼のかんぴんは、電子レンジも問題なく使用できますが、IH(電磁調理)の過熱はできません。
当地から全国へ送られる「かんぴん」ですが、長野以東では2合(360ml)以上の大きなものが多く、大阪以西では2合以下のもの。また九州には1合(180ml)以下の小さなものが多く出荷されています。
高田焼の陶製。お墓の献花筒です。
これも、高田焼の特徴を活かし、古くから生産され続けているものです。
ここに3形状の花たてをご紹介します。
左 | 薄い青色とアヤメ絵を描いたもの。 花たてに、花の絵が必要なのか?と思われるでしょうが、青い花の絵が必要だからです。 と言いますのも、この花たては九州南部で使われます。九州南部では、明るい色の花が多く、花が枯れるのも早いそうです。 また青磁雑器は仏具になるそうです。 |
中央 | もっともポピュラーな形状です。 とんがった部分を地面に挿して、花を活けます。 釉(うわぐすり)を掛けてない部分から、花たてが水を吸込み、花を長く咲かせます。 金属性に比べて、水の腐食が抑えられます。 |
左 | とんがっていない花たてです。 このタイプが使われる地域は、東海地方の南部・静岡県が多いようです。 この地域の墓地は、砕石を敷くより砂地面に墓標を建てるので、花が倒れないように、こんな形になっているそうです。 |
これは、「お線香たて」です。
現在では、陶器とっくりの生産に長けた地域でありますが、陶器とっくりを生産する『胎盤』となる地理的、技術的、人的要因は、ここにご紹介いたしました、多様の『雑器』が伺い知ることができます。
そして、これらの雑器は、変わりゆく時代にあって、変わらない器として、これからも生産され続けます。私たち株式会社シンエイは、高田焼と共に、美濃焼と共に、育っていくことをミッションとしているのです。